豊洲市場とは?
1935(昭和10)年2月の開場以来、80年以上の長きにわたり東京都民へ生鮮食料品を届けてきた築地市場。しかし、老朽化や品質・衛生管理の問題、過密化などから取り壊しが決定しました。移転に際して、建設予定地の土壌汚染発覚などさまざまな課題が浮上。完成が遅れるなか、それでも着実に工事は進み、14年の月日をかけてようやく豊洲市場が誕生しました。
豊洲市場は、今まで築地市場が担ってきた豊富で新鮮な生鮮食料品流通の円滑化、そして価格の安定という機能を引き受ける施設です。また、消費者が食の安全・安心の確保への意識を高めるなか、効率的な物流を目指すなど、これから50年先までを見据えた首都圏の基幹市場としての役割も果たします。
最大の特徴といえば、適切な温度管理ができる閉鎖型施設になること。風雨や高温の影響から商品を守り、鮮度を維持します。さらに、売り場の側に荷物の整理スペースや駐車場を設けることで車や荷物をスムーズに移動でき、物流の観点から見ても利便性が高くなっているのが特徴です。
豊洲市場は下記4つの建物で構成されており、これらは連絡通路で自由に行き来が可能です。
- 東京都や各事業者の事務所やPRルームが入居する「管理施設棟」
- 国内外の青果の取引ができる卸売場がある「青果棟」
- 地域の魚屋やお寿司屋が水産物の仕入れで利用する「水産仲卸売場棟」
- 国内外の水産物の取引ができ、マグロの競りを見学できる「水産卸売場棟」
見どころ
寿司から喫茶店まで揃う築地の大人気グルメ
「移転前にグルメを堪能しなければ」と、急いで築地市場のお店へ足を運んだ方もいるかもしれません。実は、築地市場で目利きたちをうならせてきた39の老舗店の味が、変わらずそのまま豊洲市場に残されているのです。
「豊洲市場はプロが利用する閉鎖型施設だから、一般の人は飲食店街にも入れないのでは」と不安な方もいますが、心配ありません。13店のお寿司屋をはじめに、和食や洋食、中華、うなぎ、とんかつ、喫茶などラインナップが豊富なグルメを一般客も堪能できます。
大きく分けて3つのエリアに分かれる飲食店街に加えて、調味料やわさび、昆布、包丁、つま物、ゴム長靴などを取り扱うお店や、「本物」にこだわる業者向けのショップエリア「魚がし横丁」もあります。業者向けではあるものの一般のお客さんも入れるので、ぜひ立ち寄ってみてください。
6街区・水産仲卸売場棟 3階
「6街区・水産仲卸売場棟 3階」は、豊洲市場でも最も規模の大きい飲食店街です。39店舗中22店舗が集まり、築地場内で特に注目のお店の多くが集結しています。特に「寿司大」は、世界からも注目の集まる日本を代表する寿司屋。築地市場では、寿司大の前に連日早朝から行列ができるのが名物の光景でしたが、豊洲でもまたこの光景に出会えそうです。
7街区・水産卸売場管理棟 3階
「7街区・水産卸売場管理棟 3階」は、6街区の次に大きい飲食店街です。13店舗が集まっており、6つの寿司屋をはじめとし、中華や喫茶店などジャンルが充実しています。「コーヒーとサンドイッチの木村屋」は築地時代から味のある外観が多くの人を魅了していましたが、現在はスッキリとした内装で新たな魅力が生まれています。
5街区・青果棟 1階
「5街区・青果棟 1階」は、3店舗のみの営業中の最も小さな飲食店街です。6街区と7街区は屋内にありますが、5街区は屋外にあるのが特徴で、駅からすぐに足を運べる穴場的なスポットとなっています。
なかでも「大和寿司」は、見逃さずにチェックしておきたいお店。先程紹介した「寿司大」と並ぶ人気の寿司屋で、豊洲市場だからこそ出会える新鮮なネタとハイクオリティなお寿司は絶品です。カウンターでネタの説明を聞きながら、観光気分を思う存分楽しんでみてください。
魚のプロ集う「 魚がし横丁(水産仲卸売場棟4階)」でショッピング
飲食店だけでなく物販を取り扱うお店も多く、特に飲食店で働く人たちから親しまれています。約70を超える店舗が営業しており、取り扱い商品は主に食品関係と荒物関係。どれもプロの目利きが認める専門店ばかりで、ワンフロアに約70店舗が集まる光景は圧巻です。横丁内では自転車やバイク、ターレで通路を移動しながら買い物中の市場関係者を見かけることもあり、市場の雰囲気を肌で感じられます。
削り節や漬物、乾物、玉子焼きなどの食料品、包丁や調理器具、長靴・衣類、陶器、雑貨などの荒物などがあり、一般客の買い物にもぴったり。市場ならではの商品が多いので、お土産として購入するのも良いでしょう。スーパーでは決して出会えない、プロが厳選したプロのための商品を手に入れられるのが魚がし横丁の良さです。
もっと豊洲を好きになれる展示コーナー
PRコーナー(管理施設棟)
市場内には、見学者を飽きさせないための工夫が盛りだくさんです。各棟にある展示コーナーでは、知られざる豊洲市場について詳しく知ることができ、さらに好きになれる仕掛けが豊富。読んで体験して、目で見て楽しむのもおすすめです。
豊洲市場の全体像を把握するためにも、管理施設棟にある「PRコーナー」へまず訪れてみてください。パンフレットが用意されているほか、豊洲市場の特徴や各棟の見どころが丁寧に展示パネルで説明されています。豊洲市場の基礎知識や歴史に触れることで、一気に親近感が湧くでしょう。
また、「イッチーノ」と呼ばれる東京都の公式キャラクターである市場の精に出会ったり、巨大マグロの模型と記念に写真撮影できたりもします。大迫力の模型は子どもたちにも大人気で、家族旅行の思い出の1ページを飾るのに最適です。
水産卸売場棟見学ギャラリー
水産卸売場棟見学ギャラリーへは、管理施設棟から連絡通路を通過すると到着します。まず目に入るのが、巨大なマグロの模型。今まで築地市場で取り引きされたマグロの中でも、最大級の実物大のクロマグロを模型にして飾っています。
ここでは自由に撮影ができるので、ぜひ記念に一枚撮影してみてはいかがでしょうか。豊洲市場のなかでも特に人気のフォトスポットで、写真映え抜群の大迫力です。この巨大なクロマグロを中心に、周囲には豊洲市場周辺の水産物に関するパネルや、豊洲市場で取り引きされるマグロの種類に関するパネルが展示されています。
マグロ競り見学デッキ(水産卸売場棟)
見学ギャラリーをさらに奥へ行くと、「マグロの競り」を見学できる通路に到着します。水産卸売場棟で最大の見どころとも言えるスポットで、窓から下を覗けばマグロが売り買いされている様子が目に入ります。廊下壁側を見ると、昔の市場の歴史や風景がモノクロ写真で展示されています。昔の荒々しくも活気のある市場の写真など、今見ると新鮮で興味深い写真も多いので、ぜひ忘れずチェックしてみてください。
「手やり」とは、取り引きの際に品物の値段や数量を手で表すこと。見学者にとって少しわかりにくい手やりも、解説パネルが設置されているので、どのような取引が行われているのかぜひ観察してみてください。
通路でマグロの競りを見学できますが、臨場感をたっぷりと味わいたい方は「デッキ見学」を予約するのもおすすめ。
見学デッキのガラスは上部に隙間があるため、魚の匂いを感じたり、競りの声が良く聞こえたりなど臨場感がたっぷりです。何か聞きたいことある場合は、同行しているツアースタッフに質問しましょう。
マグロの競り見学事前抽選について:見学は、事前申込・抽選制です(※先着順ではありません)。詳しくはこちら
水産仲卸売場棟
水産仲卸売場棟は、ゆりかもめ「市場前駅」改札を背にした右側にあります。出入り口がいくつかありますが、一番奥の入口を利用すると「魚がし横丁」や「仲卸売場」にたどり着きます。
「魚がし横丁」へ向かう通路には、展示を通して人々を飽きさせない工夫が豊富です。その一つとして、季節ごとの旬の魚を紹介しているパネルが挙げられます。ただ魚の紹介をするのではなく、魚を美味しく食べるための調理方法も説明されています。豊洲市場では、魚を購入する前にここで調理法を確かめるのもおすすめです。
運搬車のターレットトラック(通称ターレ)は市場でよく利用されている設備ですが、展示物を通して見ることも可能です。市場の雰囲気を味わう工夫として、壁に市場のおじさんが描かれているのもユニーク。記念撮影の際はターレに乗ることもできるので、市場関係者の気分を味わってみてはいかがでしょうか。
青果棟見学ギャラリー
青果棟の見学ギャラリーは、華やかな12ヵ所の窓が特徴的です。色はそれぞれ1月〜12月の旬の野菜や果物に分かれており、カラフルで楽しい気分にさせてくれます。1月のしゅんぎく(緑)に2月はなのはな(黄)、3月のえんどうまめ(黄緑)など、それぞれのシーズンの旬を感じられるのが面白いポイント。美術館のような雰囲気で、ベンチに座って休憩も可能です。
「見学者デッキ」は見学ギャラリーの最も奥にあり、青果物の競りが行われている卸売場を眺められます。ここでは、豊洲に届く青果物の産地の内訳や、市場関係者のタイムスケジュールなどのパネルが展示されています。豊洲市場での青果物取引に関する知識をつけ、新たに豊洲のことを学べるスポットだと言えるでしょう。
取材時、残念ながら競りは終わっていましたが、卸場で働く人たちの様子を見学できました。段ボールには野菜がたくさん積まれ、ターレが通路を移動する様子はまさに市場そのものといった光景です。
近隣スポット
屋上緑化広場
水産仲卸売場棟の屋上はとても広い緑化広場となっており、見学や買い物で疲れたときの休憩スポットに最適です。風がとても気持ちよい空間で、すぐ目の前には勝どき・晴海方面や六本木・芝大門方面など湾岸エリアのビル群が広がります。
また、夕焼けの絶好スポットでもあり、特に薄暗くなってからの東京タワーやレインボーブリッジはとてもロマンティック。ライトアップされた美しい夜景は、少し目線の高い屋上から見ることでより一層幻想的に映ります。
豊洲ぐるり公園
豊洲市場をぐるりと囲む「豊洲ぐるり公園」は、ジョギングやお散歩に利用したくなるスポット。広範囲で舗装された道が続いており、各所に設置された屋根付きのベンチや子ども向けの遊具など、デートやピクニックにも利用できます。屋上緑化広場とはエレベーターで通じているので、あわせて足を運ぶのが良いでしょう。
豊洲市場の場下町(城下町)
2020年1月、青果棟に近くにオープンした商業施設。2023年春までの約3年間の限定営業を予定しています。施設は平屋建ての造りで、豊洲市場に関連した店舗はもちろん、日本が誇る食や文化を体験できるショップが勢揃いです。豊洲市場の新鮮な食材を活かした海鮮丼や寿司などの飲食店のほか、東京や豊洲のお土産を取り扱うショップなどが営業しています。
場下町は、下記のゾーンに分かれており、観光客が利用しやすいスポットとして人気を集めています。
- 豊洲の魚を使った海鮮焼きやお寿司、日本のバラエティ豊かな食を体験できる「フードホール棟」
- 鮮度抜群な食材や日本らしさが感じられるお土産を販売する「マルシェ棟」
- 屋外イベントやマルシェが開催される「イベント広場」
施設情報
豊洲市場
【営業時間】平日5:00〜17:00 ※店舗によって異なります。
【休業日】日・祝日/水曜はカレンダーによる
詳しくは東京都中央卸売市場のカレンダーにてご確認ください。
マグロの競り見学事前抽選について:見学は、事前申込・抽選制です(※先着順ではありません)。詳しくはこちら
【住所】東京都江東区豊洲6-3−1
【TEL】03-5320-5720
【問い合わせ先】
- 管理部:03-5320-5720
- 詳しくはこちら
アクセス情報
電車で行く場合
- ゆりかもめ「市場前」徒歩約3分
バスで行く場合
- 都営バス「新豊洲駅前」徒歩約4分
- 都営バス「市場前」徒歩約2分
詳しくはこちら
よくある質問Q&A
- 駐車場はありますか?
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市場外に千客万来施設立体駐車場があります。20分200円で、24時間ごとの最大料金は1,500円です。
- 豊洲市場の一般見学時間はいつですか?
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豊洲市場PRコーナーは8時30分~14時30分(土曜日は11時30分まで)、見学者通路(飲食・物販エリアを含む)は5時~15時です。
- 見学に予約等は必要ですか?
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不要です。ただし、マグロの競り見学については、事前申込・抽選制となっています、ご注意ください。