【三菱一号館美術館】企画展はもちろん、繊細で美しい建物にも注目!丸の内に佇む赤レンガ造りの美術館

目次

三菱一号館美術館とは?

三菱一号館美術館
三菱一号館美術館

東京・丸の内の近代的なデザインの高いビルが林立するエリアに赤煉瓦造りの建物がひときわ目をひく「三菱一号館美術館」。2009年に開業した商業施設「丸の内ブリックスクエア」に併設の美術館として2010年にオープンしました。

19世紀の近代美術を中心としたコレクションを収蔵、研究活動を行なっています。常設展示はありませんが、19世紀後半から20世紀前半の近代美術をテーマとした企画展が、年に3回は開かれています。企画展のテーマも絵画や浮世絵、ファッション、ジュエリーなど、多岐に渡っていて、会期ごとに話題を集める、人気の美術館です。

赤煉瓦が特徴的な美術館の建物は、老朽化のため1968(昭和43)年に解体された「三菱一号館」をもとに再建されたものです。詳しい調査が行われ、当時の建築技術を用い、加えて旧三菱一号館の一部を再利用するなど、細かい部分まで忠実に復元されました。

ドールハウス
ドールハウス

1894(明治27)年、丸の内で初めての洋風貸事務所建築として建てられたのが三菱一号館です。「日本の近代建築の父」とも呼ばれる、イギリスの建築家、ジョサイア・コンドルによって設計されました。

当時、銀行と貸事務所を兼ねたこの建物の完成を皮切りに、馬場先通りには次々と煉瓦造りのビルが建設されていきました。その後、1911(明治44)年には「三菱十三号館」まで完成したことで、軒高15メートルの建物が並び、統一された景観が生まれます。そして、この丸の内界隈の街並みがイギリスのロンドン市街を思わせる雰囲気だったことから、「一丁倫敦(いっちょうろんどん)」と呼ばれていたそうです。

外観
外観

建物全体には19世紀後半のイギリスで流行したクイーン・アン様式が用いられています。赤煉瓦が不規則な模様で並ぶ美しい外壁に白い窓枠が映えます。また、美しい装飾が施されたドアまわりや、周りを囲む柵まで洗練されたデザインとなっています。

館内でも当時を偲(しの)ばせる見どころがたくさんです。階段やアーチ状の壁が続く廊下など、レトロな雰囲気に包まれます。特に注目してみてほしいのは館内の照明です。当時用いられていた「ガス灯」を、ガスの量を調節するコックまで忠実に再現されています。

明治以降、都市部で普及したガス灯は、それまでの人々の暮らしを一変させました。ぜひじっくり見ながら、文明開化が進んだ時代に思いを馳せてみてください。

見どころ

行くたびに違う企画展と出会える

三菱一号館歴史資料室
三菱一号館歴史資料室

三菱一号館美術館は、建物が建てられた頃と同時代である、19世紀末の美術品や工芸品などを中心に数多くの近代美術作品を収蔵しています。ロートレックによるリトグラフ・ポスターのコレクションは、特に有名です。陶磁器や銀器、ガラス作品などからは、当時ヨーロッパで流行したデザインを感じられます。

コレクションを持ちながらも常設展示はなく、年に3〜4回の企画展のみを行なっているのが、三菱一号館美術館の大きな特徴です。そして、企画展ごとのテーマもバラエティー豊か。これまでも、収蔵品を公開するものから、海外の美術館の名品展のほか、宝飾品、ファッションなど、多岐に渡った企画展が開催されてきました。何度訪れても新たな企画展と出会えるのも嬉しいポイントです。

日中にはなかなか足を運べない方でも、夜の美術館を楽しむことができます。祝日・振替休日を除く金曜日、第2水曜日、展覧会会期中の最終週平日は21:00まで営業しています。なかでも第2水曜日は17:00以降に限りお得に利用できる「マジックアワーチケット」が販売されています。チケット購入の詳細についてはこちらにてご確認ください。

三菱一号館歴史資料室
三菱一号館歴史資料室

1階にはチケットがなくても無料で気軽に立ち寄ることができる2つのコーナーがあります。「三菱一号館歴史資料室」は、旧三菱一号館の事務所を再現していて、漆喰(しっくい)の壁や木の格天井(ごうてんじょう)が明治期の雰囲気を醸し出しています。こちらでは美術館の復元の経緯や丸の内の歴史などを知ることができます。

三菱センターデジタルギャラリー
三菱センターデジタルギャラリー

「三菱センターデジタルギャラリー」は、静嘉堂(せいかどう)と東洋文庫に収蔵されている三菱ゆかりの名品の数々を高精細デジタル画像で見ることができるギャラリーです。歴史と趣を感じさせる作品が現代の技術の融合した、今までに体感したことのないアートを楽しみましょう。

約120点にも及ぶ画像は、絵画、茶道具、陶磁器、古書籍、日本刀などがあり、その中には国宝や重要文化財も含まれています。また、4つの動画コンテンツもあるので、ゆっくりと鑑賞してみてください。

ミュージアムカフェ&ショップも雰囲気抜群

ミュージアムカフェ「Café1894」

Café1894 店内
Café1894 店内

1階フロアの角にあるミュージアムカフェ・バー「Café1894」は、スイーツやドリンクなどのカフェメニューはもちろん、フードメニューも充実しています。イギリス発祥の料理やフレンチなど素敵なメニューが揃っています。展覧会とのタイアップメニューが登場することも。味わいながらアート鑑賞の余韻に浸ってみてはいかがでしょう。

他にも、展示替えの時期にしか味わえないメニューもあるので、展覧会の会期以外に訪れて食事だけ楽しむのにもピッタリです。食品アレルギーにも対応してもらえるのもうれしいですね(スタッフに要相談)。

食事はもちろんですが、特筆すべきは店内の雰囲気でしょう。カフェのある場所は、かつて銀行営業室として利用されていました。旧三菱一号館が竣工された当時に撮影されたと思われる写真や図面、保存されていた部材などからできる限り忠実に再現されたそうです。光が差し込む金縁の窓や重厚な柱、高い天井など、シックで趣のある空間となっています。店内を分けるようにアーチ状の小窓が並ぶ様子は、かつての銀行窓口の面影を今に伝えています。

レトロで雰囲気のある店内は、「相棒」や「半沢直樹」といった有名なドラマのロケや雑誌の撮影などにも多く使われていることから、一目見ようと訪れる人も少なくありません。

【営業時間】11:00〜23:00(L.O.22:00)
※変則営業や貸切の場合あり
【休業日】不定休
【問い合わせ先】Café1894 公式ホームページはこちら

ミュージアムショップ「Store 1894」

Store 1894 グッズ
Store 1894 グッズ

「Store 1894」は、赤煉瓦の壁と格子窓のレトロな空間の中にあるミュージアムショップです。展覧会にちなんだグッズや美術館オリジナルグッズなど、ここでしか買えない商品もたくさん並んでいるので、立ち寄って来館記念のおみやげを購入してみてはいかがでしょう。アート作品のようなおしゃれなグッズはギフトにもおすすめです。

カラフルなペンケースに入った色鉛筆は、2013年から発売されて以来、人気となっています。ケースに巻かれた帯には19世紀の画家たちの肖像画が描かれていて、見ているだけでも楽しくなります。そして、展覧会でお気に入りの作品に出会えたら、その作品のポストカードを手に入れてはいかがでしょう。持ち帰って額に入れて飾れば、感動を自宅でも味わうことができます。展覧会の図録も販売されています。過去に開催された展覧会のものもあるので、チェックしてみてください。

【営業時間】11:00〜18:00
※祝日・振替休日除く金曜、第2水曜、展覧会会期中の最終週平日は21:00まで
【休業日】美術館の休館日に準じる
【問い合わせ先】Store 1894 公式ホームページはこちら

「丸の内ブリックスクエア」でショッピングやグルメを満喫

丸の内ブリックスクエア
丸の内ブリックスクエア

美術館でアートを堪能した後は、ショッピングやグルメを楽しむのもいいですね。三菱一号館美術館から緑豊かな広場を挟んで隣接する「丸の内ブリックスクエア」は、2009年に「丸の内パークビルディング」内に開業した商業施設です。高感度でこだわりのあるファッション・雑貨のお店や国内外の食の名店などが全5フロアに集まっています。

地下1階は地下鉄駅への通路にもなっていて、居酒屋やラーメン店など気軽に立ち寄れる雰囲気の飲食店が並びます。1階はファッションや雑貨のショップのほか、広場に面したレストラン・カフェもあります。2階には本格的な和・洋・中のレストラン、3階には食事と共にマジックも楽しめる個性的なレストランなどが軒を連ねます。4階は会員制フィットネスクラブとなっています。

丸の内ブリックスクエア 館内
丸の内ブリックスクエア 館内

丸の内ブリックスクエアも美術館同様、旧三菱一号館を意識したデザインとなっています。アイアンワークのオブジェを多用した黒を基調とした外観は、周りに建つ超高層ビルとは一味違う佇まいです。

施設内も、床が石張りだったり、階によってはカーペットやフローリングが用いられています。また、共用廊下の天井には洋館に見られるようなデザイン照明が付けられていたり、吊り時計があったりと、レトロで落ち着いた雰囲気を醸し出しています。

なかでも注目なのは、エレベーターの扉の上部にある表示板が針で階数を示すアナログ形式というところです。エレベーターが来るのを待ちながら、こちらも是非チェックしてみてくださいね。

一号館広場
一号館広場

三菱一号館美術館と丸の内ブリックスクエアの建物が取り囲む中庭は「一号館広場」と呼ばれています。噴水を中心に、緑豊かな植物が生い茂る洋風の庭園です。背の高い木々の間にバラやアジサイといった季節の花々も咲く落ち着いた空間は、高層ビルの立ち並ぶ丸の内において、オアシス的なスポットともなっています。

丸の内ブリックスクエアには一号館広場に面したレストランやカフェもあり、テラス席も設けられています。美術館でのアート鑑賞の後、緑を眺めながらゆったりと食事やスイーツを楽しむ時間を過ごすのもいいですね。

「ラ ブティック ドゥ ジョエル・ロブション 丸の内ブリックスクエア店」は、フレンチの名店「ジョエル・ロブション」がプロデュースする人気のパティスリー&ブランジュリーで絶品のスイーツやパンが購入できます。カフェスペースも併設されていて、スイーツやパンはもちろん、フランス・ブルターニュ地方の郷土料理であるガレット(そば粉のクレープ)やパスタといったお食事メニュー、イートイン限定のスイーツメニューなどもあります。

フランス産伝統発酵バター「エシレ」の世界初の専門店である「エシレ・メゾン デュ ブール」では、エシレバターはもちろん、エシレバターを使った焼き菓子やクロワッサンも用意されています。スペイン王家御用達のチョコレート専門店「CACAO SAMPAKA 丸の内本店」では香り高い濃厚なチョコソフトが人気。どちらもアート鑑賞後やショッピングの合間に立ち寄って、おみやげやギフトを選んだり、テイクアウトして中庭のベンチに座ってゆっくり味わうのもおすすめです。

施設情報

三菱一号館美術館

【住所】東京都千代田区丸の内2-6-2
【営業時間】10:00〜18:00
※祝日・振替休日を除く金曜日、第2水曜日、展覧会会期中の最終週平日は21:00まで営業
※入館は閉館時間の30分前まで
※臨時の時間変更の場合あり
【休館日】毎週月曜、年末年始、展示替期間
※ただし、祝日・振替休日・展覧会会期中最終週の月曜日は開館
【入館料】展覧会によって異なります
【電話番号】03-5777-8600
【問い合わせ先】三菱一号館美術館 公式ホームページはこちら

アクセス情報

電車で行く場合

  • JR線「東京駅」丸の内南口改札から徒歩約5分
  • JR線「有楽町駅」国際フォーラム口改札から徒歩約5分
  • 東京メトロ千代田線「二重橋前駅」1番出口から徒歩約5分
  • 東京メトロ丸の内線「東京駅」から地下道直結、徒歩約5分

車で行く場合

  • 「都心環状線丸の内出口」から約15分

バスで行く場合

  • 都営バス「東京国際フォーラム前駅」下車徒歩約1分

よくある質問

美術館専用の駐車場はありますか?

三菱一号館美術館には専用駐車場はないので、近隣の駐車場をご利用ください。丸の内エリアには料金共通サービスで便利な丸の内パークインがあります。詳しくはこちらでご確認ください。

  • 丸の内パークイン
    【営業時間】各駐車場による
    【利用料金】400円/30分(3.5時間まで)、2,800円(3.5時間〜6時間)、2,800円+400円/30分(9.5時間まで)
    【最大利用料金】5,600円(9.5時間〜24時間)
    ※24時間経過以降は上記料金を繰り返し加算
館内はバリアフリーですか?

はい。館内は様々な方が利用しやすいユニバーサルデザインとなっていて、車椅子での入館可能です。入館の際は、一号館広場に面した美術館中庭口のスロープ左側にバリアフリー対応入口(段差解消用エレベーター)があります。階の昇降の際も館内のエレベーターが利用できます。

また、車椅子・ベビーカーの貸し出しも行われており、オストメイトやオムツ交換台が設置された多目的トイレは、1階に1ヵ所あります。

小さな子どもを預けることはできますか?

美術館内での託児サービスはありません。ただし、チケット提示で近隣の託児所の利用料金が割引となる特典があります。利用の際は事前予約が必要です。詳しくはこちらをご覧ください。

音声ガイドの貸し出しはありますか?

展覧会により異なりますが、解説を聞くことができる音声ガイドの貸し出しはあります(有料)。

作品の模写や撮影は可能ですか?

作品の模写や撮影は禁止となっています。

館内にロッカーはありますか?

1階に3ヵ所設置されています。また、ロッカーに入らない荷物は、チケット窓口に預けることができます。

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!