太宰府天満宮とは?
学問の神様として有名な菅原道真(すがわらのみちざね)が祀られている福岡の「太宰府天満宮」。福岡市中心部の博多・天神エリアからも電車で1時間足らずで行けるアクセスの良さもあって、年間約800万人もの参拝客が訪れる、県内でも屈指の人気観光スポットです。
初詣や受験シーズンにはそのご利益を求めて、学生や家族連れで特ににぎわいます。御祭神にちなんだ梅をはじめとする自然の美しさも魅力で、どの季節に訪れても楽しむことができます。
その歴史は平安時代にまでさかのぼります。太宰府天満宮の御祭神である菅原道真公は京都に生まれ、幼少期から学問の才能があり、努力を重ねて学者・文人として、また、時の朝廷で政治家としても活躍しました。しかしながら、政略によって無実の罪で遠く太宰府まで流され、903年にこの地で生涯を終えました。
その遺体を牛車に乗せて運ぼうとしたところ、牛が座り込んで動かなくなったそうです。この地にとどまりたいという菅原道真の思いによるものだと考えられ、当時この地にあった安楽寺の境内に埋葬されました。905年には墓所に祀廟(しびょう)が建てられましたが、平安京での度重なる不幸が道真公の御霊によるものと言われたことから、919年にそれを鎮めるため社殿が建立されたのです。
その後、無実だったことが認められ、「天満大自在天神(てんまだいじざいてんじん)」という神様の位を贈られました。そして「天神さま」と呼ばれ、多くの人々から敬われ信仰されるようになったのです。道真公の墓所である太宰府天満宮は、そのご遺徳を偲び、また御利益を求めて、現在も多くの参拝客が訪れる場所となっています。
太宰府天満宮は境内はもちろん、行き帰りに通る参道も魅力があります。老舗のお土産店から現代的なカフェまで、さまざまなお店が軒を連ねています。カップルや友人同士などで訪れ、美味しいグルメを堪能するなど、お参りと合わせていろんな楽しみ方を見つけてみてくださいね。
見どころ
植物の織りなす四季折々の景色を愛でる
「梅」の季節は見逃せない
太宰府天満宮を訪れるのであれば、毎年2月中旬から3月上旬にかけて見ごろを迎える梅の季節が特におすすめです。境内には約200種、6,000本もの紅白の梅の木が植えられています。次々と可愛らしい花が咲き誇るこの時期は、境内が一層華やかになります。
不思議な「飛梅伝説」を肌で感じる
太宰府天満宮が梅の名所となったのには理由があります。それは、御祭神の菅原道真公が梅をこよなく愛していたからです。幼少期から和歌や漢詩に親しんできた道真公は、梅に関する歌も数多く詠んでいて、次の3つの作品は特に有名です。
- 梅の花 紅の色にも 似たるかな 阿呼がほほに つけたくぞある
- ふる雪に 色まどはせる梅の花 鶯のみやわきてしのばむ
- 東風ふかば にほひをこせよ 梅の花 あるじなしとて 春なわすれそ
中でも「東風ふかば~」という歌は、太宰府へと左遷されるときに、京の都にある自宅の庭の梅の木を想って詠まれたものです。主人がいなくなっても、春にはちゃんと咲いて、香りを風に乗せて届けてほしいという想いが込められています。そして、その想いに応えたのか、一晩にして梅の木が太宰府まで飛んできたという「飛梅伝説」が残されているのです。
境内にあるご神木の「飛梅」が、まさにこの伝説の梅の木だそう。飛梅は境内に数ある梅の木の中でも、一番早く開花するというのも不思議ですね。境内の可憐な梅の花を鑑賞しながら、菅原道真公の梅に対する深い想いを感じてみてください。
梅以外の季節の花々も美しい
境内では、梅以外にも季節を感じられる花木が多く植えられているので、季節を変えて何度も足を運んでみるのもいいですね。四季折々の自然が神社の和の建物に映える美しい景色を楽しみましょう。
- 桜:3月下旬~4月中旬
- 樟(くすのき)若葉:4月中旬~5月下旬
- 花菖蒲(はなしょうぶ):6月初旬~6月中旬
- 菊:11月1日 〜11月下旬
- 紅葉:11月中旬~12月上旬
参道グルメを味わいつくす
名物「梅ヶ枝餅」は定番グルメ
太宰府天満宮にお参りするのであれば、名物の「梅ヶ枝餅」は外せない必食グルメです。名前から梅の味や香りのするお餅を想像するかもしれませんが、梅は入っていません。中にあんこの入った焼き餅で、お餅の皮の表面には、梅の花の焼き印が入っているのが特徴の、シンプルながらも美味しい和菓子です。
参道には梅ヶ枝餅のお店が数多く並びます。焼き立てを購入して、食べ歩きもできます。また、店内でお茶とゆっくり味わう時間を過ごすのもいいですね。お土産に持ち帰るのもおすすめです。
お店によって、皮の厚さ、あんこの甘さや食感などに違いがあるので、食べ比べてお気に入りの味を探すのも楽しいでしょう。毎月25日は「天神様の日」ということでよもぎ入り、17日には古代米入りの梅ヶ枝餅が限定販売されるので、その日に訪れたら、ぜひお試しください。
ご当地グルメの「太宰府バーガー」
西鉄「太宰府駅」から参道の第一鳥居を左へ曲がってすぐの「筑紫庵 本店」は、地元メディアや旅行ガイドブックなどでもよく取り上げられている「太宰府バーガー」と唐揚げの専門店。大人気の太宰府バーガーは、バンズに大きめの鳥唐揚げと野菜、自家製タルタルソース、そして、太宰府天満宮のご神木「飛梅」にちなんで梅肉ソースがサンドされた和風テイストのご当地バーガーです。
使っている食材や作る工程にもこだわっています。バンズは福岡県産の石臼挽小麦を使っていたり、福岡県糸島産地鶏の唐揚げは、味付けに使うだしに鹿児島県枕崎産の本鰹節や梅、日本酒といった様々な素材を用い、衣にもひと工夫してサクサクに仕上げてあります。野菜も地元産のもので、梅肉ソースも梅干職人による手作りです。
店内のテーブル席で食べることもできますし、テイクアウトも可能です。筑紫庵では太宰府バーガーの他にも、次のようなメニューが用意されているので、バーガーと唐揚げを組み合わせたり、みんなでシェアしたりと、思い思いに味わってみてください。
- 筑紫庵からあげ
- 合格祈願バーガー
- 大宰府からあげ
- 合格からあげ
- 博多めんたいからあげ
【施設名】太宰府バーガー&唐揚げ専門店 筑紫庵 本店
【住所】福岡県太宰府市宰府3-2-2
【営業時間】10:00〜22:00 ※状況によって変更の可能性あり
【TEL】092-921-8781
【定休日】不定休
【問い合わせ先】筑紫庵 本店 インスタグラムはこちら
冬限定!ブランドいちご「あまおう」と和菓子の融合
「あまおう」は、『あかい・まるい・おおきい・うまい』の頭文字を取って名付けられた、福岡発のブランドいちご。その名の通り、艶のある大粒で真っ赤に色づき、濃い甘みが特徴のいちごです。福岡を訪れると、あまおうを使ったお菓子などのお土産も多く見かけ、その人気の高さをうかがわせます。
太宰府天満宮の山道沿いにある「もなか専門店 太宰府参道天山」では、そんなあまおうを贅沢に使った和菓子が味わえます。あまおうの収穫シーズンの11月下旬から3月までの旬の時期にしか味わえない期間限定商品となっています。どの商品もあまおうの爽やかな甘さと、お餅やあんこの優しい甘さが絶妙です。
- あまおういちご団子:あまおう、団子、あまおうの順で串に刺さっています。大きなあまおうが2つも食べられて、見た目にもインパクト大です。
- あまおういちご大福:大福の切れ目に存在感のあるあまおうが挟んであり、ビジュアルも可愛らしいいちご大福です。
- あまおういちご大福最中:お店の看板商品である「鬼瓦もなか」で、あまおうと餅、あんこをサンド。黒あん、白あん、抹茶あんの3つの味から選べます。
一般に出回っているあまおうは、S・M・Lサイズなのですが、天山で使われているのはなんと2Lサイズで、その名も「あまおう苺DX」だそう。あまおうの存在感たっぷりで、写真映えも間違いなしの和スイーツを堪能してください。
【施設名】もなか専門店 太宰府参道天山 本店
【住所】福岡県太宰府市宰府2-7-12
【営業時間】8:30〜17:30
【TEL】092-918-2230
【定休日】不定休
【問い合わせ先】太宰府参道天山 公式ホームページはこちら
和モダンが目を引くスタバでコーヒータイム
参道を歩いていると、規則的に木が重なり合った建物がひときわ目を引く「スターバックスコーヒー 太宰府天満宮表参道店」があります。国内の数あるスタバの中でも、その地域の象徴となる場所にあって、地域の文化を世界に発信するコンセプトでデザインされた特別な店舗の1つです。
2021年開催の東京オリンピックのメインスタジアムとなった「新国立競技場」も手がけた、日本を代表する建築家・隈研吾氏による設計で、伝統的な木組み構造が用いられています。太宰府の街並みや雰囲気にもとてもマッチした和風でありながらモダンなデザインです。隈研吾氏による代表的な建築は、ほかにも次のようなものが挙げられます。
- サントリー美術館
- 梼原 木橋ミュージアム
- 浅草文化観光センター
- パイナップルケーキ専門店「SunnyHills」
- 高輪ゲートウェイ駅
入口から店内にかけて木のぬくもりが感じられる素敵な空間で、コーヒーの香りに包まれてゆっくりと過ごしてみてはいかがでしょう。お店の奥には太宰府天満宮のシンボルである梅の木が植えられた庭があります。せっかく訪れたら、奥まで進んでご覧ください。
【施設名】スターバックスコーヒー 太宰府天満宮表参道店
【住所】福岡県太宰府市宰府3-2-43
【TEL】092-919-5690
【営業時間】8:00〜20:00
【定休日】不定休
年間を通して開催されるお祭りや行事
初詣
「学問・至誠・厄除けの神様」とされる御祭神・菅原道真公のご利益にあずかるべく、年間を通じて多くの参拝客が訪れる太宰府天満宮。お正月三が日には特にたくさんの初詣客が訪れ、一層にぎやかです。
初詣の時期には、約100種類ある通常のお守りに加え、開運の矢、福結び、その年の干支がデザインされた絵馬や置物など、さまざまな正月神縁品が用意されています。
初詣と合わせて、初穂料を納めて受験合格や厄除け祈願を受けるのもいいでしょう。祈願祭のあと、特別なお札とお守りがいただけます。参拝記念に御朱印をいただくのもおすすめです。オリジナルのご朱印帳の中には人気ブランド「BEAMS」とコラボしたポップなデザインのものもあるので、ぜひチェックしてみてください。
夏の天神まつり
菅原道真公は旧暦の6月25日に誕生しました。現在は毎年7月を誕生月としていて、例年7月24日・25日の2日間、天神さまのご生誕を祝うとともに、子どもたちの健やかな成長を願う「夏の天神まつり」が開催されます。
無病息災を記念する茅の輪が設置されるほか、町内を子供みこしが練り歩き、縁日も登場します。参道筋には地元の幼稚園児や有志によって絵や文字が描かれた灯籠が飾られ、幻想的に祭りの夜を彩ります。
25日には、心字池周辺に約1,000本のろうそくを灯し、道真公の御霊を慰める「千灯明」という神事で、お祭りのクライマックスを迎えます(開催は状況によって変更や中止の場合もありますので、最新情報は公式ホームページ等でご確認ください)。
全国梅酒まつりin福岡
日本の伝統的なお酒の1つである「梅酒」は、それぞれの土地で違いがあります。蒸留梅酒や醸造梅酒、ブレンド梅酒をベースにした多岐にわたる梅酒が各地で育まれてきました。「全国梅酒まつり」は全国の酒蔵から梅酒が集結して、飲み比べや購入もできる、梅酒に親しめるイベントです。水戸をはじめ全国各地を会場に開催されています。
福岡会場は梅の名所である太宰府天満宮で、例年3月中旬の4日間にわたって開かれます。梅酒に合わせた料理を提供する飲食ブースやイベントステージも設置されます。梅の花を眺めながら、極上の梅酒をいただく贅沢な体験を楽しみましょう(開催は状況によって変更、中止の場合もありますので、最新情報は全国梅酒まつり 公式ホームページにてご確認ください)。
神社と現代アートの融合を楽しむ
菅原道真公は「学問の神様」として有名ですが、和歌などの才能にも秀でていたことから「文化の神様」としても崇められてきました。そのため、太宰府天満宮と文芸・芸能・芸術などいわゆるアートとは古くから関係が深いのです。
神社にあるアート作品といえば、歴史ある屏風や書画、彫刻などを想像するかもしれませんが、太宰府天満宮の境内ではそんなイメージが覆されます。境内全体を美術館に見立てて、斬新なモダンアートの数々が展示されているのです。風景に溶け込むような作品もあれば、周囲とは異質な存在感を放つようなものもあります。
太宰府天満宮アートプログラム
歴史ある神社の境内に現代的なアート作品が常設展示されるようになったのは、2006年にはじまった「太宰府天満宮アートプログラム」という活動によります。
太宰府天満宮が持つ「開放性」と「固有性」をテーマに、様々な分野の第一線で活躍するアーティストを招き、太宰府での取材や滞在による体感から生み出された作品の公開をサポートしています。さらには、その作品を地域の財産として収蔵することで新たな文化の発信、展開へと繋げていく取り組みです。
これまでに公開されてきた太宰府天満宮アートプログラムは次のとおりです。作品は会期中、宝物殿の展示室を使用して発表されるほか、屋外での展示も行われています。会期終了後もそのまま常設展示されている作品もあるので、境内散策を楽しみながら、アーティストが表現した世界に隠されたメッセージを想像しつつ、太宰府天満宮と現代アートの融合を体感してみてください。
- vol.1:日比野克彦「描く(かく)書く(カク)然々(しかジカ)」
- vol.2:長谷川純「Years Ago-幾年前―」
- vol.3:春木麻衣子「伍」
- vol.4:小沢剛「ホワイトアウトー太宰府ー」
- vol.5:高松次郎|鷹野隆大「”写真の写真”と写真」
- vol.6:ライアン・ガンダー「You have my word」
- vol.7:神戸智行「イノセント・ワールド」
- vol.8:サイモン・フジワラ「The Problem of the Rock」
- vol.9:ホンマタカシ「Seeing Itself-見えないものを見る」
- vol.10:ピエール・ユイグ「ソトタマシイ」
- vol.11:田島美加「Appear」(会期:2022年5月15日〜2022年10月10日)
屋外の常設展示作品は天候や状況により公開が休止される場合もあります。太宰府天満宮の境内で見られる様々なアート作品についての詳細や展覧会情報などについては、境内美術館ウェブサイトにてご確認ください。
施設情報
太宰府天満宮
【開門時間】
- 春分の日~秋分の日の前日:6:00
- 上記以外の期間:6:30
【閉門時間】
- 4月~5月、9月~11月:19:00
- 6月~8月:19:30
- 12月~3月:18:30
- 毎週金曜日・土曜日:20:00
※正月三が日は24時間開門しています。1月4日の夜は参拝状況により閉門します。
【定休日】無休 ※宝物殿は月曜日、菅公歴史館は火曜日・水曜日が休館です。
【料金】無料 ※宝物殿、菅公歴史館の拝観料は別途かかります。
【住所】福岡県太宰府市宰府4-7-1
【TEL】092-922-8225(9:00〜17:00)
【問い合わせ先】
アクセス情報
電車で行く場合
- 西鉄太宰府線「太宰府駅」から徒歩約5分
車で行く場合
- 九州自動車道「太宰府I.C」から約6Km(約15分)
- 九州自動車道「筑紫野I.C」から約5Km(約20分)
- 都市高速道路2号線「水城I.C」から約6Km(約15分)
駐車場情報
下記2つの駐車場は、駐車可能時間が8:00~17:00です。ただし、お祭り・催しや天候などにより変更もあります。近隣には他にも民間の駐車場があります。
- 太宰府駐車センター(大型バス・マイクロバス26台、普通車850台、バイク15台)
【住所】福岡県太宰府市宰府1-12-8
【駐車料金】大型バス 2000円、マイクロバス 1300円、普通車 500円、バイク 250円 - 太宰府パーキング(普通車48台)
【住所】福岡県太宰府市宰府3丁目3-37
【駐車料金】最初の1時間は400円、後は30分ごとに100円